投稿者:斎藤正人
2018年5月31日~6月2日に開催された日本IVR学会総会(JSIR)に参加させていただきました。また今回は、IR国際シンポジウム(ISIR)もかねており、ほぼすべて英語の発表で刺激的でした。英語で準備し発表し、かつ質疑も流暢に答えられている先生は、純粋にすごいなと感じた次第です。私自身は、デジタルポスターでのエントリーであり、当日はとくに口演することはなかったのですが、英語でのスライド作成は苦戦しておりました。演題登録に至り、廣川先生にはたくさんご指導いただき感謝申し上げる次第です。
学会では、奥田先生の発表のほか、HCC診療、外傷IVR、産科IVRなど日常診療に関係する内容を拝聴しました。多くの興味深い内容が多かったですが、ここでは、HCC診療とくにTACEに関してのことを書かせていただきます。Safety marginを考慮した(適度な)ultraselective TACEの趣旨の口演が多かったです。また、近年のAIの発達による責任血管同定のガイド技術に関連する内容も多かったように思います。
近年、HCCに対しては、ソラフェニブ以外にレゴラフェニブ、レンバチニブなどの分子標的薬が適応となり、他施設でもTACEの件数は減少傾向のようです。今後は(すでにそうかもしれませんが)、PVTTへの制御が求められる症例、RFAが難しい病変、多発病変など症例がより限定的になることが予想されます。分子標的治療導入を残すという点で、いかに肝機能を損なわないように治療するかは、強く求められる前提条件と思います。B-TACEを考案された、入江先生がもうリピオドールを使用したTACEを行っていないということは、大変衝撃的でありました。またそれと同時に、RFAをもっとつきつめて行っていくことも重要と実感いたしました。US機器やアプリケーションも進歩している中、Fusion imageやNeedle navigationなど支援技術も熟知・習熟するべきことと思います。
IVR診療に関係する分野は、全身多臓器が対象で、幅広い解剖や病態知識、最近の治療トレンドまで常日頃updateしなければなりません。探求すべきところは尽きることなく、大変な部分もありますが、それが面白みでもあります。
明日からの診療にまた気を引き締めて精進しなければならないと思わされた次第でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。