お久しぶりです。札幌医大病院放射線治療科レジデントの眞船です。昨年度は関連施設の市立札幌病院で修行させて頂き、この春に再び大学病院に戻ってきました。大学病院も市立病院もまだまだコロナ患者治療の渦中にありますが、学生さんや見学生の姿もちらほら見かけるようになり、以前のような日常を徐々に取り戻しつつあります。
さて、今年の教室説明会のポスターですが、レゴブロックを題材にして作ってみました。
私事ですが、5歳になる元気いっぱいの姪っ子がおり、最近レゴブロックに夢中になり始めました。創造と破壊の相手をしていたところ、ふと、治療装置を作ってみたいと思いました。次第に、姪っ子よりもいい歳したおっさんが夢中になり、ブロックが詰まった段ボールに手を突っ込んでじゃらじゃらと部品集めする事態に。こうして完成した作品がこちら。
なかなか良い感じ。色々な回転パーツを使って3軸に動かせるだけでなく、CBCTも展開できるのが楽しい。今年のポスターはこれだ、と閃いたわけです。
アイディアが浮かんだら吉日。睡眠時間を削って作業開始です。まずはLDD (Lego Digital Designer)というソフトウェアを使ってリニアックを設計します。回転部分がうまく動作するかいまいち自信を持てず、ざっくりとしたパーツリストを出力して、専門の通販サイトで部品の発注をします。各ブロックが袋に詰められて届くので、実際に組み立ててみながら微調整していきます。
LDDは使い勝手が良いソフトですが、既にアップデートが止まっており、描画機能が弱いという欠点があります。そこで設計データをStudio 2.0というソフトに読み込ませ、イメージショットを打ち出します。深層学習の練習用に組んだPCを用いて、GPU accelerationをガンガン使いながらレンダリングさせます。IMRT計算と一緒ですね。
振り返ってみると、治療装置の模型を作ってみようという閃きが、実は放射線治療医としてとても意味深いものだと気付かされました。それは、各部品がどういう目的で作られ、なぜそのようなデザインになっているかを紐解く作業に他ならなかったのです。市立病院で研修していた際に治療装置の更新があり、解体や組立に立ち会った経験も生きたのだと思います。
次回もまた、面白いポスターでこの放射線治療界隈を盛り上げていこうと思います。頑張ります。