2014年5月16日金曜日

第1回ESTRO School in JAPAN

東京 2014/05/16
投稿者:染谷正則

 ヨーロッパの放射線腫瘍学会であるESTROとJASTROの共同開催という事で、初めてのESTRO schoolが東京で行われる事になったので、堀先生と勉強に行ってきました。ヨーロッパより10人ほどの講師陣が来日し、日本から約80人、アジアから約30人の参加者が集まり講習会が行われました。

 今回の内容は、Target Volume Delineation(標的輪郭の囲い方)という事で、CT/MRI/PET画像を用いてのGTV(肉眼的腫瘍体積)の囲い方、CTV(臨床的標的体積)の囲い方を、肺、前立腺、頭頸部癌、脳腫瘍の4つの領域に分けての講義、グループディスカッション形式での実習がありました。


 イギリス、オランダ、ドイツなどから来日された先生の講義は分かりやすい英語で話され、些細な質問についても丁寧に回答してくださっていました。机の手元に投票ボタンを用意し、選択肢を投票形式で選ばせる質問コーナーもあり参加者を飽きさせない工夫がたっぷりです。

 グループディスカッションは参加者を6つのグループに分けて、それぞれのグループでCT/MRI画像を見ながら輪郭をどのように囲うか?というものでした。司会進行は参加者の中で自発的に選ばれ、私も1.5セッション分の司会進行を英語でやらされたのでドキドキでしたが、無事にみんなの意見を集約し、CTVを決定する事ができてホッとしました。

 やってみて分かった事ですが、個人個人の輪郭の囲い方は非常にバラツキがあるものの、みんなでディスカッションしつつ囲っていくと案外と各グループとも似通った結果になって行く事が新鮮でした。それと同時にウチの施設でも、みんなで集まってGTV/CTVを吟味する時間がもっと必要である事も痛感しました。

 3日間とも午前9時から午後5時過ぎまで、ほぼ缶詰状態でなおかつ英語のみでの講義で頭は飽和状態になりましたが、かなり頭の中の知識が整理され、リフレッシュできた3日間と思います。実は往復旅費+宿泊+参加費とすべて自費参加でしたが(結構高く付きましたが)、それに見合う貴重な経験ができたと思っています。

2014年4月19日土曜日

第41回北海道食道癌研究会

札幌市教育文化会館 2014/04/19
投稿者:高田優

 4月19日に札幌市教育文化会館で第41回北海道食道癌研究会が行われました。この会は放射線治療科だけの会ではなく、北海道で食道癌を扱う内科、外科、放射線科が合同で症例報告や新しい知見などを持ち寄り検討する会です。

 僕は市立札幌病院で行われた食道癌についてまとめ、「当科における固着した鎖骨上窩リンパ節転移を有する食道癌に対する化学放射線療法」を発表しました。従来化学療法だけでは治らなかった症例に対して積極的に化学放射線療法を行うことで治る症例もあることを報告しました。

 他科と合同で行うことで、一つの食道癌という疾患に対して色々な観点からアプローチをしていることを改めて学んだり、直接お話しして教えていただいたり有意義な時間を過ごすことができました。放射線科だけの学会はもちろんのこと、道外で行われる他科合同の学会でいずれ発表できるよう、努力していきたいと思います。

2014年4月11日金曜日

JRC2014②

パシフィコ横浜 2014/04/11
投稿者:宇佐見陽子

 2014年4月11日12日にパシフィコ横浜で開催された第73回日本医学放射線学会総会に出席してきました。賞味1日半の参加でしたが、目的をもって内容を絞って聴講したので、自分としては満足しています。お留守番頂いたチームの先生方、いつもありがとうございます。

 今回の大会のテーマは「Face to Faces , Face to Communities , and Face to the World」でした。 学会プログラムが送られて来た際、テーマを見たときには正直ピンとこなかったのですが、実際大会に参加してみると、大会長である岡山大学金澤右先生の若手医師への期待がテーマに込められているなと感じました。それは主に以下の2点と考えられます。
一点目は『通信手段が著しく発達した現代においても、実臨床では患者様、他科の主治医や医療スタッフと直接顔を合わせて話あうという事が何より大切であるという事』。二点目は『国際的視野をもって学び成長してほしいという事』です。
私個人としては、これらについては普段からなるべく意識しているつもりなのですが、改めてこれらの重要さを再認識できた気がします。

 会場は例年のとおり多くの人でとても賑わっていました。機器展示にも足を運んだのですが、とにかく人、人、人、で機器メーカーの方のコアなお話を聞けたわけでもなく、機械をただ漠然と眺めるだけでした。もう少し画像診断機器について知識を深めなくてはいけないなと感じました。

 さて、私は診療医かつ大学院生でもあるので、聴講は以下の1)2)に絞りました。
  1. 医学研究・論文作成、医学英語関係で勉強になりそうなセッション
  2. 画像診断について最近の一般的な動向をupdateかつover viewできるセッション
IVRについての細かい事はIVR学会総会の方が濃密なので、今回はIVRについては聴講しませんでした。具体的には、シンポジウム2『臨床研究』、特別講演『私の歩んできた放射線医学松井修先生』、シンポジウム3『臓器の画像所見から全身疾患を診断する』、シンポジウム6『心臓CT update(途中まで)』、特別企画『How to improve your English』、シンポジウム7『認知症の画像診断update』、特別企画『行列のできる医療法律相談所』、です。

 以下、特に印象にのこり、他の若手の先生とも共有したいと思ったセッション『特別企画:How to improve your English』について具体的内容を述べます。

~ 特別企画:How to improve your English ~

1. 英語圏での放射線科日常診療(アイオワ大学 石神康生先生)

 石神先生はUSMLEも取得されて、アイオワ大学で教育、実臨床ともに第一線で活躍されている先生です。石神先生ご自身の体験から日本人が陥りやすい英語の落とし穴をまとめておられました。
 まずは、発音についてです。日本人はAIUEO=アイウエオとのみ発音してしまいますが、英語ではA=アのみではありません。との事。例えば、
Aorta(エオルタ アオルタじゃない)、Diverticulitis(ダイバティキュライティス)、Iatrogenic(アイアトロジェニック)、Debris(ディブリス)、Wound(ウーンド)同様に、Liposarcoma、Leukemia、Gynecology(ガイネコロジィ)、Carcinoma(カルシノーマ、カルチノーマでない)、Mucin(ミュシン、ムチンでない)。

 あとは、Th vs S、R vs Lを区別して発音する事が日本人は特に不得手、との事です。
もう一つは、native speakerとmiscommunicationが起こらない為に気をつける点についてです。大切なのは、speak slowly and repeat そして、レポートは短くclearに書く、だそうです。これらについては、動画で日常の勤務風景を流しながら解説しておられました。『押しが強くたくさん話したがる自己主張の強いアメリカのレジデント』に対して、『親切に丁寧に紳士的に教育されている石神先生』がとても印象的でした。


2. データを得たら英語で発表し論文にしよう(岡山大学脳神経外科学 伊達勲先生)

伊達先生は岡山大学脳神経外科学教授として、今までも現在の多くの論文を書かれておられ、かつ教育されている豊富な経験をお持ちで、日本医学英語教育学会にも副理事長として携わっておられます。素晴らしい経験をお持ちの先生が、論文作成の極意を10か条にまとめておられました。とてもシンプルでわかりやすく、感激しました。(自分は論文をまだ殆ど書いてもいませんが、なんだか希望を持つことができました。)以下10か条です。
  1. なぜ書くのか?
  2. 初めから英語で書くか?
  3. native checkは必要か?
  4. 学会発表は大切か?
  5. 基礎英語能力はどの程度必要か?
  6. 一人でプレゼンの練習をするには?
  7. 実際にどこから書くのか?
  8. 論文収集・管理は研究の最初から始めましょう
  9. スライド作成の基本
  10. 日本脳神経外科学会は同時通訳団を持っている

① なぜ英語で論文を書くのか?

読者の数が圧倒的に違うので自分の論文を沢山の方に読んでもらえる、そして、世の中に対する自分の研究の影響力・貢献度が全く違ってくるから。との事。
さらに、論文作成における英語の構文はlogical thinkingによって構成されているため、実はそれほど難しくはない。さらに、英語論文は教授選考において審査項目となる。(教授になりたくない人は関係ないかもしれないですが・・・。)との事。Publish or perish(=書かないなら、消えなさい)というのはよく言われる言葉。だそうです。つまり学会発表のみで論文にしなければ、形として残らない(つまり何もしていないに等しいという事なので、消えなさいって事)。世界で認められる為には英語論文は必須項目である。だそうです。

② 初めから英語でかくか?

一番初めは日本語で書いてもよい。との事。
なぜなら、初めのうちは論文の構成を習得する事の方が重要であるから。そして、不思議な事に日本語で論文を書ける人は英語でも必ず書ける。との事。何遍か日本語→英語で書いてみて、英語でプレゼンするような立場になったなら、初めから英語で書くように努力してみましょう。との事です。

③ Native checkは必要か?

絶対必須との事。専門翻訳業者かnativeの友人を頼るのが良い。との事。
しかし、初めから直で翻訳業者はご法度との事。まずは自分で英語で書いてみて、nativeに修正してもらう様にすること。

④ 学会発表について

論文化する前に学会発表は必ずするべき。との事。
なぜなら、抄録執筆はミニ論文だから。学会発表の準備そのものが、論文執筆の開始といってもよい。極論、論文は抄録の各分量を増やせばよい。のだそうです。

⑤ 英語の基礎能力とは?

構文は高校レベルである。この点において恐れる必要はない。しかしながら、医学英語特有の表現がある。これは、別途、習得する必要がある。勉強方法としては、普段から読んでいる.論文などから使えそうな表現をひたすら集める。伊達先生は手書きで構文を集めてノートを自力で作成している。和→英として、アイウエオ順に使えそうな構文を並べてバインダーノートにしている。
 しかし、これに関しては『和英で引ける医学英語フレーズ辞典』という本が伊達先生ご自身によりメジカルビュー社から出版されています。また、基礎研究は英語力を高めるのに必要・有用である。基礎研究をする量は英語に携わる量に比例する。との事です。

⑥一人でプレゼンの練習をするにはどうしたらよいか?

ニュースやyou tubeなどでひたすら、シャドーイングするのが有用。との事。

⑦どこから書くか?

Material and Methodとresultから書き始める。との事。なぜなら、これらの部分で論文の50%は終わってしまう。かつ、これらは決まった言い回しが多いので、書きやすい。さらに、この様にして書いて少し形がみえてくると元気になる。との事です。

⑧普段から関連論文を集めましょう

論文収集は研究の最初から始めましょう。との事。伊達先生は研究に関連する論文を全てプリントアウトされて、筆頭著者順にABCで並べて管理されておられるとの事です。しかし印刷するかしないかは、個々人の好みによる。との事ですが、印刷した方が前後関係の理解が容易にできるとの事です。(でも、最近の若い人は別かな?ともおっしゃっていました。)

⑨スライド作成の基本 

一枚のスライドに7行のルール。多くても10行。
これ以上になると見づらい。文字の色とbackgroundの色は対比したものを選ぶ。(例:黒と白など)

⑩日本脳神経外科学会は同時通訳団をもっている

これは、学会員を刺激する為、あえて作られたそうです。脳外科領域は最先端なのですね。
コストもかなりかかると思いますが・・・。


 以上です。正直まだまだ、書き足りない部分もありますが、長くなりましたので今回はこれで終わりにします。

 ここまでの長文を読んで下さった皆様、お付き合い頂きましてありがとうございます。

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