グランドニッコー東京 台場 2018/05/31-6/2
投稿者:廣川直樹
JSIR & ISIR 2018(2018/5/31-6/2:Tokyo)に参加させていただきました。3年に一度のIVR学会の国際学会です。今回の目的はIVR分野での最新知見を学ぶことと、当科で行っているコイルの物理実験の結果を奥田先生がOralでの発表を見届けることでした。
奥田先生の発表内容は、目を向けるIRistがいない特殊な分野で、動脈瘤が再発しないためのコイリングには、Frameコイルの物理的強度が重要であることを示したものです。このことに目を向けるメーカーがなくなってきていることを危惧していることを強調する報告でした。奥田先生は、座長の質問にも会場を笑わせつつ答えるという高度な技を示したほど、立派にこなしてくれました。奥田先生、お疲れさまでした。
今回も多くの分野で勉強させていただきました。特に、救急分野ではIVRの役割が増してきていることを再確認しましたが、人員、システムが充実しなければ、近いようで遠い理想として捉えました。この意味で、今回のtrauma IRシンポジウムの内容に羨望と懐疑の念が芽生えました。私の周りの現実世界ではそう簡単ではありません。札幌という都会でさえも、です。我々もご多分に漏れず、時間外オンコールが多くあります。システム整備や人員は不十分ですし、不確実で曖昧な適応によりIVRショッピングがある一方で、理想を追い求める過大評価IVRがあったりします。
こちら側からで恐縮ですが、「患者を助けるという幸せ」にかかわれる機会をいただきありがたく感じています。一方で、当科にはIVR専門医2名+修行者1名しかいません。少人数の小人が責任感という道具だけで大きな大切な荷物を背負っていますが、その重さからいつ倒れてしまうかわかりません。だからこそ、こちら側でのちょっとしたマネージメントが必要になります。我々の責務として、責任感ある小人であるIRistを育成することに専念していますし、これからも増やしていくことに、いつもアンテナを張っています。持続可能なためにはそれだけでなく、病院全体のご理解とご協力で、人員増員、システム化、機器整備などにより、大きな荷物を少しでも引き上げて重圧を軽減しくれることを望みます。一方で、下支えである小さな多くのご協力が多大な助けになります。患者を目の当たりにする担当医への共感を大事にする一方で、不確実な適応を一定化し曖昧さをなくすことだったり、看護師・MEがいない中での手技、準備から撤収まで最初から最後までIRistに任されている現実では、安全性と持続可能性に問題が生じるでしょう(当院には大学病院で唯一、放射線部門付きの看護師・MEがいません)。
そうはいっても、チームの先生方にはいつもご協力いただいています。さらには、当科の放射線治療の先生方にも、当直時はじめ多大なご協力をいただいております。持続可能なシステム作りにいつも頭を悩ませている中でのご協力に感謝いたします。ありがとうございます。
話がそれてすみません。この機会にこの場をお借りして危機感を吐露してしまいました。とにかく、いい意味でも悪い意味でも気持ちが揺さぶられる学会だったと思います。参加させていただきありがとうございました。お留守番の小塚先生、ありがとうございました。
2018年5月31日木曜日
第47回IVR学会総会 (JSIR & ISIR 2018) ③
グランドニッコー東京 台場 2018/05/31-6/2
投稿者:斎藤正人
2018年5月31日~6月2日に開催された日本IVR学会総会(JSIR)に参加させていただきました。また今回は、IR国際シンポジウム(ISIR)もかねており、ほぼすべて英語の発表で刺激的でした。英語で準備し発表し、かつ質疑も流暢に答えられている先生は、純粋にすごいなと感じた次第です。私自身は、デジタルポスターでのエントリーであり、当日はとくに口演することはなかったのですが、英語でのスライド作成は苦戦しておりました。演題登録に至り、廣川先生にはたくさんご指導いただき感謝申し上げる次第です。
学会では、奥田先生の発表のほか、HCC診療、外傷IVR、産科IVRなど日常診療に関係する内容を拝聴しました。多くの興味深い内容が多かったですが、ここでは、HCC診療とくにTACEに関してのことを書かせていただきます。Safety marginを考慮した(適度な)ultraselective TACEの趣旨の口演が多かったです。また、近年のAIの発達による責任血管同定のガイド技術に関連する内容も多かったように思います。
近年、HCCに対しては、ソラフェニブ以外にレゴラフェニブ、レンバチニブなどの分子標的薬が適応となり、他施設でもTACEの件数は減少傾向のようです。今後は(すでにそうかもしれませんが)、PVTTへの制御が求められる症例、RFAが難しい病変、多発病変など症例がより限定的になることが予想されます。分子標的治療導入を残すという点で、いかに肝機能を損なわないように治療するかは、強く求められる前提条件と思います。B-TACEを考案された、入江先生がもうリピオドールを使用したTACEを行っていないということは、大変衝撃的でありました。またそれと同時に、RFAをもっとつきつめて行っていくことも重要と実感いたしました。US機器やアプリケーションも進歩している中、Fusion imageやNeedle navigationなど支援技術も熟知・習熟するべきことと思います。
IVR診療に関係する分野は、全身多臓器が対象で、幅広い解剖や病態知識、最近の治療トレンドまで常日頃updateしなければなりません。探求すべきところは尽きることなく、大変な部分もありますが、それが面白みでもあります。
投稿者:斎藤正人
2018年5月31日~6月2日に開催された日本IVR学会総会(JSIR)に参加させていただきました。また今回は、IR国際シンポジウム(ISIR)もかねており、ほぼすべて英語の発表で刺激的でした。英語で準備し発表し、かつ質疑も流暢に答えられている先生は、純粋にすごいなと感じた次第です。私自身は、デジタルポスターでのエントリーであり、当日はとくに口演することはなかったのですが、英語でのスライド作成は苦戦しておりました。演題登録に至り、廣川先生にはたくさんご指導いただき感謝申し上げる次第です。
学会では、奥田先生の発表のほか、HCC診療、外傷IVR、産科IVRなど日常診療に関係する内容を拝聴しました。多くの興味深い内容が多かったですが、ここでは、HCC診療とくにTACEに関してのことを書かせていただきます。Safety marginを考慮した(適度な)ultraselective TACEの趣旨の口演が多かったです。また、近年のAIの発達による責任血管同定のガイド技術に関連する内容も多かったように思います。
近年、HCCに対しては、ソラフェニブ以外にレゴラフェニブ、レンバチニブなどの分子標的薬が適応となり、他施設でもTACEの件数は減少傾向のようです。今後は(すでにそうかもしれませんが)、PVTTへの制御が求められる症例、RFAが難しい病変、多発病変など症例がより限定的になることが予想されます。分子標的治療導入を残すという点で、いかに肝機能を損なわないように治療するかは、強く求められる前提条件と思います。B-TACEを考案された、入江先生がもうリピオドールを使用したTACEを行っていないということは、大変衝撃的でありました。またそれと同時に、RFAをもっとつきつめて行っていくことも重要と実感いたしました。US機器やアプリケーションも進歩している中、Fusion imageやNeedle navigationなど支援技術も熟知・習熟するべきことと思います。
IVR診療に関係する分野は、全身多臓器が対象で、幅広い解剖や病態知識、最近の治療トレンドまで常日頃updateしなければなりません。探求すべきところは尽きることなく、大変な部分もありますが、それが面白みでもあります。
明日からの診療にまた気を引き締めて精進しなければならないと思わされた次第でした。
第47回IVR学会総会 (JSIR & ISIR 2018) ②
グランドニッコー東京 台場 2018/05/31-6/2
投稿者:奥田洋輝
4月の日本医学放射線学会に引き続き、5月末に第47回IVR学会総会に参加してきました。開催場所はお台場で交通の便よく、ゆりかもめを利用したためウォーターフロントの展望を楽しみながら会場に向かいました。
ただ今回、国際シンポジウムも合同で開催しているためかスライド作成、発表、質疑応答すべて英語で行わなくてはならず、英語が苦手な私にとって正直ハードルが高く感じました(廣川先生には時間のない中、何度も校正いただき本当にお世話になりました)。実際会場からの質問も普段より不活発であったと思います。とはいえ、多くの発表者は流ちょうな英語で発表・応答しており刺激をうけました。いずれ翻訳ソフトが発達し英語を勉強しなくてもよい時代がくるとはいっていますが、少なくとも私が医者として働いているうちは自力を上げなくてはいけないようです。
プログラムで印象的であったのは日本医科大学や藤田保健衛生大学病院の救急医が招待され「IVR医に知ってほしいこと」をタイトルにセミナーがあったことです。札幌医科大学も三次救急であり救急部から緊急の止血依頼がくることがしばしばあります。他院の救急部の先生方がどのように考えているのか、IVRに対する率直な要望なども聞くことができて参考になりました。当院の救急部の先生方とも効率のよいシステムづくりができればと思います。
投稿者:奥田洋輝
4月の日本医学放射線学会に引き続き、5月末に第47回IVR学会総会に参加してきました。開催場所はお台場で交通の便よく、ゆりかもめを利用したためウォーターフロントの展望を楽しみながら会場に向かいました。
ただ今回、国際シンポジウムも合同で開催しているためかスライド作成、発表、質疑応答すべて英語で行わなくてはならず、英語が苦手な私にとって正直ハードルが高く感じました(廣川先生には時間のない中、何度も校正いただき本当にお世話になりました)。実際会場からの質問も普段より不活発であったと思います。とはいえ、多くの発表者は流ちょうな英語で発表・応答しており刺激をうけました。いずれ翻訳ソフトが発達し英語を勉強しなくてもよい時代がくるとはいっていますが、少なくとも私が医者として働いているうちは自力を上げなくてはいけないようです。
プログラムで印象的であったのは日本医科大学や藤田保健衛生大学病院の救急医が招待され「IVR医に知ってほしいこと」をタイトルにセミナーがあったことです。札幌医科大学も三次救急であり救急部から緊急の止血依頼がくることがしばしばあります。他院の救急部の先生方がどのように考えているのか、IVRに対する率直な要望なども聞くことができて参考になりました。当院の救急部の先生方とも効率のよいシステムづくりができればと思います。
第47回IVR学会総会 (JSIR & ISIR2018) ①
グランドニッコー東京 台場 2018/05/31-6/2
投稿者:大谷緋美
2018年5月31日~6月2日に東京・お台場で開催された第47回IVR学会総会に出席させて頂きました。今回が初めてのIVR学会総会であり、出発の数日前からタイムテーブルを眺めてはどのセッションを聴講しようかとあれこれ考えながら準備していました。普段何度となく訪れている東京ではありますが、お台場はこれまで行く機会がほとんどなかったためちょっとした観光気分を味わうこともできました。
学会会場は決して広くはありませんでしたが、たくさんの参加者で大変賑わっていました。私は、日頃大学で関わらせて頂く機会の多いHCCの治療や救急領域のセッションを中心に聴講させて頂きました。救急の先生方が講演してくださったセッションでは、外傷IVRでピットフォールとなる点や救急医がIVR医に求めることなどを知ることができました。このセッションの会場は多数の立ち見が出るほどの人気で、救急領域のIVRへの関心度の高さがうかがえました。今後、今回とは逆に救急の学会でIVR医が講演をするという計画もあるそうで、外傷IVRにおいては救急医とIVR医が良好な協力関係のもとにそれぞれの専門性を最大限に発揮することが非常に重要であるのだと改めて感じました。この他、膵癌に対する経皮的膵灌流法(現時点では動物実験の段階であるということでしたが)や、副腎腫瘍に対する経静脈的RFAについての発表は、IVR治療の新たな可能性を肌で感じることができ、大変興味深かったです。
また、今年度はISIR同時開催であったため、ほぼ全てのセッションで質疑応答まで英語での発表でした。初めは少しギョッとしたものの、国内の先生方が非常に流暢な英語で発表や座長をされているのを目の当たりにし、「いつかこの学会で発表する機会が頂けた時には、こんな風にカッコよく英語を話したい…」と、IVRとは別の新たな目標がうまれました。
IVRの勉強を始めてまだまだ日が浅い私にとっては大変難しい内容も多かったですが、この度の総会で学んだこと、感じたことを忘れずにこれからも精進していきたいと思います。
投稿者:大谷緋美
2018年5月31日~6月2日に東京・お台場で開催された第47回IVR学会総会に出席させて頂きました。今回が初めてのIVR学会総会であり、出発の数日前からタイムテーブルを眺めてはどのセッションを聴講しようかとあれこれ考えながら準備していました。普段何度となく訪れている東京ではありますが、お台場はこれまで行く機会がほとんどなかったためちょっとした観光気分を味わうこともできました。
学会会場は決して広くはありませんでしたが、たくさんの参加者で大変賑わっていました。私は、日頃大学で関わらせて頂く機会の多いHCCの治療や救急領域のセッションを中心に聴講させて頂きました。救急の先生方が講演してくださったセッションでは、外傷IVRでピットフォールとなる点や救急医がIVR医に求めることなどを知ることができました。このセッションの会場は多数の立ち見が出るほどの人気で、救急領域のIVRへの関心度の高さがうかがえました。今後、今回とは逆に救急の学会でIVR医が講演をするという計画もあるそうで、外傷IVRにおいては救急医とIVR医が良好な協力関係のもとにそれぞれの専門性を最大限に発揮することが非常に重要であるのだと改めて感じました。この他、膵癌に対する経皮的膵灌流法(現時点では動物実験の段階であるということでしたが)や、副腎腫瘍に対する経静脈的RFAについての発表は、IVR治療の新たな可能性を肌で感じることができ、大変興味深かったです。
また、今年度はISIR同時開催であったため、ほぼ全てのセッションで質疑応答まで英語での発表でした。初めは少しギョッとしたものの、国内の先生方が非常に流暢な英語で発表や座長をされているのを目の当たりにし、「いつかこの学会で発表する機会が頂けた時には、こんな風にカッコよく英語を話したい…」と、IVRとは別の新たな目標がうまれました。
IVRの勉強を始めてまだまだ日が浅い私にとっては大変難しい内容も多かったですが、この度の総会で学んだこと、感じたことを忘れずにこれからも精進していきたいと思います。
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