2019年11月23日土曜日

JASTRO第32回学術大会②

謎の構造物。昇降式可動橋か何かですか。
シニア・レジデントの眞船です。

 学会3日目は昨日と打って変わって快晴に。この日の目玉は特別企画3『近未来の放射線治療 -AIとともに』でした。内容は多岐に渡っていて、案内ロボットから治療計画支援まで合計6つの演題がありました。各演題に入る前にちょっとしたオープニングがあり、少し凝ったスライドショーが流れ雰囲気はばっちり、という感じ。しかしこの企画は、具体性のある内容は少なめで、深層学習の可能性や誤解、導入のアドバイス等についてざっくりと言及するものが多く、正直、拍子抜けしてしまった。

 要望演題6『AI/Radiomics・ビックデータ』のセッションの方が、いくつか興味そそられる内容があった。例えば、画像特徴の視覚化にヒートマップを用いている発表が面白かった。後で調べてみたが、これはCAM; class activation mappingというらしい。自分も画像解析したら是非実装してみようと思う。

閉会式の様子。来年はオリンピックとJASTROが札幌に来る。
講演42『AI/Radiomics・ビックデータ』も見てみたが、演題の論点を理解し有意義な議論をできるようにするには、かなり基礎的な勉強が必要だと感じた。要は技術的なことよりも、数学や統計、解析学の理解だ。例えばある演題の質疑で「データの水増し」の意図を汲み取れていないと感じさせる質問があり、ちょっと変な空気になる場面があった。水増し(data augmentation)を行う本来の目的は実に単純で、ロバスト性(=画像のノイズに対する耐性)を高めたいからに尽きる。ただ、この「水増し」という日本語が与えるイメージがよろしくなく、悪い方に誤解を招いたと察する。しかしながら他のブログでも言われているように、水増しとは水を加えてかさ増しすることであって、勝手に具を入れるわけでないのだから、核心を突いた名訳だと僕も思う。

 水増しを巡る水掛け論は、今後もまだまだ続くと予想します。

ランチョンセミナーは、日本泌尿器内視鏡学会総会と合同で開催した、有明病院の吉岡靖生先生のハイドロゲルスペーサーのお話が大変面白かったです。アンカー挿入を局所麻酔でやるかどうかについては当科でも議論したことがあったので、今後の診療の参考にしたいと思いました。

  他、放射線防護や医療倫理などの講習も受け、JASTROは無事終わりました。来年は札幌で開催です。それまでにパワーアップしたいと思います。
最後は行けるところまで普通列車で帰りました。古見(こみ)駅にて。

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