国立京都国際会館 2015/05/30
投稿者:中田健生
5月30日、京都で開催された日本高精度放射線外部照射研究会に参加してきました。
前日まで同会場で第15回ICRRが開催されており、世界各国から多数の参加者が集まり、大変盛り上がっていたようです。高精度放射線治療に関してもICRRで沢山の発表と熱い討論がなされた後であったためか、前日の夕方に開かれた合同の懇親会では既にクールダウンした印象で、本研究会では放射線治療医による臨床系の発表はまばらでまとまったセッションがありませんでした。
一方メインテーマが「チーム医療からみた高精度放射線治療」ということで、医学物理士や看護師の高精度治療に関連した現場での課題について、また治療器開発に関連した企業や開発者、さらにPMDAの担当者を交えたシンポジウムが開催されていました。別の視点からの見方や、初めて知る内容が多く予想外の収穫でありました。
今回の研究会では頭頸部癌の臨床発表は皆無の中、当院で2014年よりIMRTの割合が増えてきている中下咽頭癌のIMRT治療成績をポスター発表させて頂きました。治療方針決定のプロセスを交えて3分という短い時間の中、メイン会場の後ろの壁際で少し寂しく説明してきました。
帰札の前に京都駅にほど近い東寺を参拝したところ、亀の背中に石碑が突き刺さったちょっと可哀想にみえる石像に遭遇しました。説明ではこれは亀ではなくて竜の子の「贔屓(ひいき)」だそうです。彼は重いものを背負うことを自ら好み、いかなる病気をも治してくれる何ともありがたいものとのことです。彼を撫でた手で患部をさすると悪いところが良くなるそうで、贔屓の周りをグルグル回って両手でたっぷり撫でまわしてきました。次の日からの診療で患者さんに御利益を渡せればと願い、また自分自身少しだけでも彼を見習えればという気持ちで帰ってきました。
2015年5月30日土曜日
2015年5月28日木曜日
第44回日本IVR学会総会
宮崎シーガイアコンベンションセンター 2015/05/28-30
投稿者:宇佐見陽子
今回は4年に一回の国際学会であったため、発表から質疑応答、館内放送に至るまで何から何まで英語でした。にもかかわらず、参加者の推定9割以上が日本人という少し奇異な状況がありました。
率直な感想ですが、『質疑応答も含めすべての工程を英語で行う事は、現時点では弊害の方が多い』と感じました。例えば、英語という理由だけで、ディスカッションが全くはずまなかったり、もっと沢山質問があったであろう素晴らしい発表までもが、質問なし、という残念な状況が見受けられました。(IVR関連の学会・研究会では熱い討論が繰り広げられるのが普通です。)
医療の国際化が進む中で、英語をもっと勉強しなくてはいけないと感じる良い機会ではあったのですが、少なくとも質疑応答は日本語でOKくらいにしておくのがバランス的に良いのではないかなと考えます。
その中で、自分と同じくらいの先生方が流諜に英語を話されていた光景は印象的でとてもよい刺激になりました。
今回の参加目的は、
に絞って、聴講しました。以下それぞれについて、述べたいと思います。
リアクションの多かった部分は意外にも瘤の組織云々よりも、動脈瘤モデルをどうやって作ったんですか?というところでした。以上より、内臓動脈瘤の塞栓術について生物学的因子にまで突き詰めて考えている放射線科医はほとんどいないのではないか?と感じられました。
また、Fiberを使用して塞栓した症例5例において再発はなかったとの記載もありました。これらの2点は我々も同様の認識をもっており、やはりそうなのかと今後の自信になりました。
骨盤骨折と右腎動脈同時損傷の症例報告。SENSEという概念(後述します)に従い、まず右腎動脈にバルーンカテーテルを挿入し、血流を遮断しておき、時間をかせぐ。その間、対側アプローチで両側内腸骨動脈を速やかに塞栓する。その後、また右腎に戻って、右腎動脈をコイルで塞栓する。というものでした。
SENSEとはS(Speed of bleeding)E(Easiness of control bleeding) N(number of bleeding sites) S(Space of bleeding sites) E(Endpoint of embolization)という因子をもとにIVR治療戦略(治療部位の優先順位)を決めたらいいですよ。という概念。この症例でいうとSは腎>骨盤、Eは骨盤>腎(バルーンカテなら腎>骨盤) Nは2、Sはいずれも後腹膜、Eは血行動態の安定化。という事です。
我々も多発外傷症例があります。血行動態に一番関連する部位から塞栓していくのですがその際に塞栓に要する時間を考えすぎると、優先順位を見極めるのが難しいことがあります。とても勉強になりました。
いつも長文すみません。お付き合いくださりありがとうございました。
投稿者:宇佐見陽子
今回は4年に一回の国際学会であったため、発表から質疑応答、館内放送に至るまで何から何まで英語でした。にもかかわらず、参加者の推定9割以上が日本人という少し奇異な状況がありました。
率直な感想ですが、『質疑応答も含めすべての工程を英語で行う事は、現時点では弊害の方が多い』と感じました。例えば、英語という理由だけで、ディスカッションが全くはずまなかったり、もっと沢山質問があったであろう素晴らしい発表までもが、質問なし、という残念な状況が見受けられました。(IVR関連の学会・研究会では熱い討論が繰り広げられるのが普通です。)
医療の国際化が進む中で、英語をもっと勉強しなくてはいけないと感じる良い機会ではあったのですが、少なくとも質疑応答は日本語でOKくらいにしておくのがバランス的に良いのではないかなと考えます。
その中で、自分と同じくらいの先生方が流諜に英語を話されていた光景は印象的でとてもよい刺激になりました。
今回の参加目的は、
- 自分の動物実験の口演発表
- 他施設の内臓動脈瘤治療の発表
- 救急系の発表
- 英語発表プレゼンテーションのコツ
に絞って、聴講しました。以下それぞれについて、述べたいと思います。
1. 自分の動物実験の発表
発表内容は『コイル塞栓瘤の病理組織学的差異』で、皆様の協力もあって、何とかかんとか英語発表を乗り切れました。発表後には他施設からもとても興味深い実験ですね、という好評価をいただけて、率直に嬉しかったです。座長からの質問でP,FP群でなぜ内膜が厚くなるのですか?と質問されました。PGLAは炎症を起こすからですと答えました。リアクションの多かった部分は意外にも瘤の組織云々よりも、動脈瘤モデルをどうやって作ったんですか?というところでした。以上より、内臓動脈瘤の塞栓術について生物学的因子にまで突き詰めて考えている放射線科医はほとんどいないのではないか?と感じられました。
2. 他施設の内臓動脈瘤の発表
天理病院からの脾動脈瘤の臨床経験10例のポスター発表が印象的でした。瘤容積やVERを算出する際に、3DDSAからの算出と瘤径からの算出で誤差が生じるとのこと。3DDSAの方がVERが少なく算出され平均VER20.8%(瘤径)vs14.7%(3DDSA)との事でした。また、Fiberを使用して塞栓した症例5例において再発はなかったとの記載もありました。これらの2点は我々も同様の認識をもっており、やはりそうなのかと今後の自信になりました。
3. 救急系の発表
多発外傷のご発表で済生会横浜市東部病院の船曳先生のご発表が印象的でした。骨盤骨折と右腎動脈同時損傷の症例報告。SENSEという概念(後述します)に従い、まず右腎動脈にバルーンカテーテルを挿入し、血流を遮断しておき、時間をかせぐ。その間、対側アプローチで両側内腸骨動脈を速やかに塞栓する。その後、また右腎に戻って、右腎動脈をコイルで塞栓する。というものでした。
SENSEとはS(Speed of bleeding)E(Easiness of control bleeding) N(number of bleeding sites) S(Space of bleeding sites) E(Endpoint of embolization)という因子をもとにIVR治療戦略(治療部位の優先順位)を決めたらいいですよ。という概念。この症例でいうとSは腎>骨盤、Eは骨盤>腎(バルーンカテなら腎>骨盤) Nは2、Sはいずれも後腹膜、Eは血行動態の安定化。という事です。
我々も多発外傷症例があります。血行動態に一番関連する部位から塞栓していくのですがその際に塞栓に要する時間を考えすぎると、優先順位を見極めるのが難しいことがあります。とても勉強になりました。
4. 英語発表プレゼンテーションのコツ
話し言葉と書き言葉の違いがあり、プレゼンではこの中間の言語になる、との事。また、英語圏の施行は単純明快ストレートであるが、東洋人は螺旋状の思考回路である。英語でプレゼンするときは、単純明快が好まれるとの事。いつも長文すみません。お付き合いくださりありがとうございました。
ラベル:
学会報告
2015年5月25日月曜日
ICRR②
国立京都国際会館 2015/05/25-29
投稿者:坂田耕一
先週、京都で開催されたICRR(International congress of radiation research)に参加してきました。4年に一度開催される放射線研究の国際学会です。前回、日本で開催されたのは、たしか28年前、東京でした(私が大学院生だった時です)。
論文でしか知らない、著名な研究者の発表を目の当たりで聞けて、大変感激しました。内容も充実していて、大勢の聴衆がおり、たくさんの質疑応答がありました。
それにしても、放射線治療と密接な関連があるDNA2重鎖切断修復の分子メカニズムの解明が進み、映画でもみるように、図示することが可能になってきたのには感激しました。いよいよ、これらの知見が、癌の放射線治療に応用され、放射線治療成績が改善される時代が近づいたことを実感しています。
今回のICRRは、放射線治療の臨床の演題も多いのが特徴だったと思います。私が興味のあるDNA2重鎖切断修復の分子メカニズムのセッションの他、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、Adaptive radiation therapyのセッションに参加してきて、随分勉強になりました。
投稿者:坂田耕一
先週、京都で開催されたICRR(International congress of radiation research)に参加してきました。4年に一度開催される放射線研究の国際学会です。前回、日本で開催されたのは、たしか28年前、東京でした(私が大学院生だった時です)。
論文でしか知らない、著名な研究者の発表を目の当たりで聞けて、大変感激しました。内容も充実していて、大勢の聴衆がおり、たくさんの質疑応答がありました。
それにしても、放射線治療と密接な関連があるDNA2重鎖切断修復の分子メカニズムの解明が進み、映画でもみるように、図示することが可能になってきたのには感激しました。いよいよ、これらの知見が、癌の放射線治療に応用され、放射線治療成績が改善される時代が近づいたことを実感しています。
今回のICRRは、放射線治療の臨床の演題も多いのが特徴だったと思います。私が興味のあるDNA2重鎖切断修復の分子メカニズムのセッションの他、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、Adaptive radiation therapyのセッションに参加してきて、随分勉強になりました。
ICRR①
国立京都国際会館 2015/05/25-29
投稿者:染谷正則
5月25日~29日まで、京都で行なわれたICRR(International Congress of Radiation Research)に参加してきました。
放射線研究の領域において、4年に1回開催される大事な学会であり、今年は念願の日本開催であったため、国内・海外からたくさんの参加者がありました。
私はポスター発表1つと、国際放射線増感学会のセッションを兼ねたシンポジウムでの発表が1つあり、特にシンポジウム発表は1ヶ月ほど前から準備を進めて来ました。
タイトルは「Radiosensitizing effect of Gimeracil and Olaparib」という事で、これまでに高木先生、三浦先生が博士論文の研究テーマとしてやってきた内容を30分にまとめて発表する事にしました。国際学会ですので英語のスライド、発表も英語です。事前に原稿を作って先生方にチェックしてもらい、原稿を読みながらでしたら何とか発表を終える事ができました。英語の質問も2つありましたが、かろうじて聞き取れたので、何とか英語で答える事ができました。途中でポインタを使ってスライドを図示したりすると、原稿をどこまで読んだか分からなくなったり、やや手間取った所もありましたが、うまくできていたよと教授および前教授からお褒めの言葉を頂きました。
投稿者:染谷正則
5月25日~29日まで、京都で行なわれたICRR(International Congress of Radiation Research)に参加してきました。
放射線研究の領域において、4年に1回開催される大事な学会であり、今年は念願の日本開催であったため、国内・海外からたくさんの参加者がありました。
私はポスター発表1つと、国際放射線増感学会のセッションを兼ねたシンポジウムでの発表が1つあり、特にシンポジウム発表は1ヶ月ほど前から準備を進めて来ました。
タイトルは「Radiosensitizing effect of Gimeracil and Olaparib」という事で、これまでに高木先生、三浦先生が博士論文の研究テーマとしてやってきた内容を30分にまとめて発表する事にしました。国際学会ですので英語のスライド、発表も英語です。事前に原稿を作って先生方にチェックしてもらい、原稿を読みながらでしたら何とか発表を終える事ができました。英語の質問も2つありましたが、かろうじて聞き取れたので、何とか英語で答える事ができました。途中でポインタを使ってスライドを図示したりすると、原稿をどこまで読んだか分からなくなったり、やや手間取った所もありましたが、うまくできていたよと教授および前教授からお褒めの言葉を頂きました。
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